太陽光発電設置のデメリットとは?費用対策や蓄電池との併用を解説
太陽光発電は、維持やメンテナンスが重要です。特にパワーコンディショナーの交換は10〜15年ごとに必要であり、定期点検も3〜4年ごとに行う必要があります。さらに、発電効率を最大化するためには、設置場所や角度、定期的なメンテナンスの工夫が必要です。
目次
住宅用太陽光発電を設置するデメリットとは
太陽光発電の導入には、初期コストや天候に左右される発電量など、さまざまなデメリットがあります。維持費や設置スペースの確保も重要なポイントです。
◇導入時の初期コストが高額になる
太陽光発電の初期費用は依然として高額であり、新築住宅に導入する場合、1kWあたりの平均費用は約28.8万円とされています。一般家庭に設置されるソーラーパネルの容量は、通常3kWから5kW程度のものが多いため、総設置費用は約86.4万円から144万円に達することが一般的です。
近年、ソーラーパネルの製造技術が進歩し、パネル自体の価格は以前と比べて下がってきましたが、それでもなお決して安価な投資ではありません。
また、太陽光発電システムの費用を回収するためには、通常10年から15年ほどの時間がかかります。これは設置する地域や発電効率、電力の消費量に左右されるため、個々のケースで差がありますが、多くの場合、この期間は経済的に利益を得られるまでの回収期間と見なされます。
そのため、太陽光発電の導入に踏み切る際には、長期的な視野での検討が不可欠です。特に、初期費用を賄うためにソーラーローンや補助金を利用しても、将来的な費用対効果を考慮し、慎重に計画を立てる必要があります。
◇発電量が天候に左右される
太陽光発電は天候に大きく影響されます。曇りや雨の日には発電量が30%以下に落ち、夜間には全く発電できません。さらに、季節による日射量や日照時間の違いも大きな要因です。
夏は日射量が多いものの、25℃を超えると発電効率が低下するため、一概に夏の発電が有利とは言えません。また、地域によっても発電量が異なるため、設置場所の選定が重要です。
◇住居によっては設置スペースの確保が難しい
太陽光パネルは屋根に設置することが一般的ですが、屋根材や面積、形状によっては設置が困難な場合もあります。特に既設住宅では耐震基準が古く、荷重に耐えられない可能性があります。
さらに、日当たりが悪いスペースや、そもそも屋根に日が当たらないケースもあり、これが設置の妨げとなる場合もあります。
◇維持やメンテナンスに手間と費用がかかる
太陽光発電は定期的な点検・メンテナンスが必要です。2017年のFIT改正法により、50kW未満の発電設備にもメンテナンスが義務化されました。
また、太陽光パネルは寿命が20〜30年ですが、パワーコンディショナーは10〜15年ごとに交換が必要です。点検には約2.9万円、交換には22.4万円が一般的な費用です
太陽光発電導入時のコストを抑える方法と対策
太陽光発電の初期費用は高いですが、ローンや補助金を活用することで、コスト負担を軽減できます。損害保険や点検の契約にも工夫が可能です。
◇ソーラーローンを活用する
ソーラーローンは、初期費用を分割で支払う方法で、オール電化と太陽光発電をセットでローンにするのが特徴です。ローンを利用する際は、施工業者の選定が重要で、扱っているメーカーや金融機関が異なる場合があるため、注意が必要です。
◇自治体の補助金制度を利用する
多くの自治体では、太陽光発電の導入を支援する補助金制度を設けています。条件は自治体ごとに異なり、各ホームページで確認することが重要です。例えば、愛知県では、自ら所有し居住する住宅に設置することが条件です。申請期間や対応も自治体により異なるため、申し込む際は十分な確認が必要です。
◇損害保険を年払いにする
損害保険料は年払いにすると、1ヶ月あたりの保険料が割引され、負担が軽くなります。契約時に長期払いを選ぶことでさらに割引が適用されることが多いため、保険料を抑える効果があります。
◇定期点検を長期契約にして単価を下げる
定期点検やメンテナンスの費用も、5年や10年などの長期契約にすることでコストを削減できます。1回あたりの費用は大きく割引されないこともありますが、長期的には費用を抑える効果が期待できます。
太陽光発電の発電効率を最大化する方法とは
太陽光発電の効率を最大限に引き出すためには、設置の角度や方位、メンテナンス、蓄電池の活用が重要です。工夫次第で性能を向上させ、安定した電力供給を実現できます。
◇設置の角度・方位・場所を工夫する
太陽光発電を効果的に利用するためには、南向きで傾斜のある屋根に設置するのが理想です。設置場所によっては、建物や木々が影になり、光がパネルに届かないことがあります。そのため、障害物や光の反射具合を事前に確認しておくことが大切です。
◇定期的なメンテナンスを実施する
太陽光パネルは紫外線や熱で徐々に劣化します。また、パネル表面にホコリや汚れが付着すると、発電効率が低下します。定期的なメンテナンスを行い、パネルを最適な状態に保つことが重要です。メンテナンスは専門業者に依頼し、安全かつ確実に実施しましょう。
◇蓄電池と併用する
太陽光発電は天候や昼夜の変化によって発電量が不安定です。蓄電池を併用することで、昼間に発電した電力を蓄え、夜間や天候が悪いときに使うことができ、電力供給を安定させられます。
太陽光発電設置は屋根以外にもできる
太陽光発電を設置する際には、日光を遮らない場所や自然災害のリスクが少ない場所が適しています。傾斜や障害物に配慮した場所選びが重要です。
◇太陽光発電設置場所の条件とは
太陽光発電に適した設置場所は、日光を遮る障害物がなく、傾斜や自然災害のリスクが低い場所です。理想的には30°の傾斜が良いとされますが、もともと傾斜が大きい場所では設置が不安定になることもあります。さらに、樹木や電柱のない場所が望ましく、倒木や倒壊による被害も防げます。
◇駐車場またはカーポート
駐車場やカーポートの屋根は、傾斜が少ないため、太陽光発電の設置場所として適しています。また、既設住宅にも導入しやすい点が魅力です。車庫やカーポートは太陽光パネルを置くスペースとして活用でき、効率よく発電が可能です。
◇バルコニーやベランダ
バルコニーやベランダにも簡単に太陽光パネルを置くことができます。屋根への設置よりも簡単に導入できるため、初めての設置としては魅力的です。ただし、発電効率がやや低く、広めのスペースが必要となります。
◇住居の屋上
屋上に太陽光パネルを設置することで、建物の遮熱性を高める効果があります。パネルと屋上の間に隙間が生まれることで、建物内部の温度上昇や低下を防ぎ、省エネルギー効果も期待できます。
住宅用太陽光発電の導入には、初期費用が高額であることや天候に左右される発電量、メンテナンスの手間などいくつかのデメリットがあります。まず、導入時の初期コストが高く、一般的に1kWあたり28.8万円程度、家庭用では3〜5kWの容量が多いため、総額で約86.4万円〜144万円の費用がかかります。また、費用を回収するまでに10〜15年かかるため、導入には慎重な検討が必要です。
次に、太陽光発電は天候に大きく影響されます。曇りや雨の日は発電量が30%以下に落ち、夜間は発電できません。さらに、地域や季節によっても発電量は変動し、夏は日射量が多いものの、高温時には発電効率が低下します。設置場所の選定が発電効率を左右するため、注意が必要です。
住居の屋根材や面積によっては、太陽光パネルの設置が難しい場合もあります。特に既設住宅では耐震基準が古く、屋根が荷重に耐えられないケースもあり、設置が困難です。また、日当たりの悪い場所や日が当たらない屋根は、太陽光発電に適していません。
さらに、太陽光発電は維持やメンテナンスにも手間と費用がかかります。定期点検やパワーコンディショナーの交換が必要で、点検には約2.9万円、交換には約22.4万円がかかります。定期的なメンテナンスを行わなければ、発電効率が低下し、発電量が減少する可能性があります。
これらのデメリットを軽減するため、ソーラーローンや自治体の補助金を活用し、初期費用を分割払いにしたり、補助金を利用してコスト負担を軽減する方法があります。また、損害保険を年払いにすることで保険料を抑えることができ、定期点検を長期契約にすることでメンテナンス費用を削減することが可能です。
発電効率を最大化するためには、設置の角度や方位を工夫し、南向きの屋根に設置するのが理想です。障害物がなく、光がパネルに届きやすい場所を選定することが重要です。また、蓄電池を併用することで、夜間や天候不良時にも安定した電力供給を確保できるため、蓄電池の活用も検討すべきです。
設置場所としては、屋根以外にも駐車場やカーポート、バルコニー、ベランダ、屋上などが挙げられます。駐車場やカーポートは傾斜が少なく設置しやすい一方で、バルコニーやベランダは発電効率が低いものの、設置のハードルが低く手軽に導入できます。屋上に設置することで、遮熱効果が期待でき、建物の省エネルギー効果も向上します。