太陽光発電と電気自動車を併用!蓄電池としての利用などの経済効果
太陽光発電と電気自動車(EV)を併用することで、家庭や企業の電力利用効率を大幅に向上させることができます。特に、EVを蓄電池として活用することで、太陽光発電で得た余剰電力を効率的に保存し、必要な時に使用することが可能になります。
こちらでは、太陽光発電とEVを組み合わせたシステムの具体的なメリットや、導入による経済効果について詳しく解説します。
目次
カーボンニュートラル宣言について知ろう
「カーボンニュートラル宣言」は、企業や政府が温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目指す重要な取り組みです。地球温暖化や気候変動への対応として、持続可能な社会の実現を目指す動きが世界中で広がっています。
◇2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出をゼロにする取り組みのことです。世界各国でその取り組みが進む中、日本でも2020年10月に2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにすると政府が宣言しました。
ここでいう温室効果ガスの排出ゼロとは、温室効果ガスの排出量から森林などによる吸収量を差し引いて、排出量と吸収量を均衡に保つことをいいます。
◇カーボンニュートラルを目指す背景
世界各国でカーボンニュートラルを目指すようになったのは、近年の異常気象です。地球温暖化がますます深刻化していく中、近年では気温上昇や干ばつ、豪雨など世界各国でさまざまな問題が発生しています。
日本も例外ではなく、近年では気温の上昇が深刻で、2024年は前年に続き、観測史上最高気温を記録し、高い地域では40℃以上観測するほどです。さらに、大雨や季節外れの雹(ひょう)が降るなど、各地で異常気象が発生しており、中には甚大な被害が出ている地域もあります。
◇太陽光などクリーンエネルギーが注目される
カーボンニュートラルの取り組みで注目されているのが、太陽光発電などのクリーンエネルギーです。太陽光発電は、他の発電方法とは異なり、電気をつくる際に二酸化炭素を排出しません。
そのため、温室効果ガスの排出を削減できる方法として注目されており、設置を義務付けに向けて動き始めている自治体も多いです。また、東京都や京都府では既に太陽光発電の設置の義務化が決定しており、太陽光発電の設置に利用できる制度などが用意されています。
太陽光発電と電気自動車をつなぐV2Hとは
画像出典:フォトAC
電気自動車が普及し始め、V2Hというものが注目され始めていますが、初めて聞いたという方も多いかもしれません。実はV2Hは、太陽光発電と電気自動車を効率的に活用できるものです。具体的な活用方法についてみていきましょう。
◇電気自動車のバッテリーから給電可能
V2H(Vehicle to Home)は、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)のバッテリーに蓄えられた電力を自宅で使えるようにする技術です。通常、EVの充電設備は家庭の電力をEVに供給するだけですが、V2Hを導入することで、EVの電力を逆に自宅に供給することが可能になります。
これにより、例えば災害時に電力が停まった場合でも、EVのバッテリーを利用して家庭での電力供給ができるため、非常に便利です。また、EVのバッテリーは近年大容量化しており、走行していない時間にその電力を無駄にすることなく、家庭用エネルギーとして有効活用できるようになります。
◇蓄電池代わりの利用ができる
V2Hを蓄電池として利用でき、太陽光発電で発電した電力を家庭で消費し、消費しきれなかった分を電気自動車に貯めておけます。住宅用の蓄電池との大きな違いは、バッテリー容量と電気自動車に直接充電できるかどうかです。住宅用の蓄電池の容量は大きいものでも10kWhほどなのに対し、V2Hは20〜70kWhほどの容量になっています。
このように蓄電池として活用できるとはいえ、住宅用の蓄電池とは明確な違いがあるため、導入する際は注意が必要です。
◇災害など緊急時にも頼りになる
V2Hは、災害時の停電時にも非常に役立つ技術です。特に日本のように地震や台風など自然災害が多い地域では、停電が発生することがよくあります。
V2Hを活用すれば、電気自動車(EV)のバッテリーから家庭に電力を供給できるため、停電時にも一定期間電気を使用することができます。車種や使い方によって電力の持ち時間は異なりますが、数日間は十分に電力を確保することが可能です。
さらに、V2Hには太陽光発電と連動するタイプもあり、これを導入していれば昼間に太陽光で電力を充電しておき、停電時にも備えることができます。このタイプは、家庭用電力、太陽光発電、EVの電力を効率よく使うために自動的に管理してくれるため、災害時の電力供給をスムーズに行えます。
電気の使用状況に応じて、電力の消費や充電、売電を最適化するため、日常的にもエネルギー効率が良く、非常時には大きな安心を提供します。
太陽光発電と電気自動車を併用する経済効果
太陽光発電と電気自動車(EV)の併用は、環境への配慮だけでなく、家庭の電力コスト削減にも大きな効果をもたらします。太陽光発電で得たクリーンエネルギーを自家消費し、余剰電力をEVに充電することで、電力会社からの購入を減らすことができます。
◇ガソリン代と電気代の削減効果
ガソリン車の場合、ガソリンを購入し続ける必要があり、燃料費がかかります。しかし、電気自動車(EV)を使う場合、太陽光発電を活用すれば、自宅で発電した電気を車の充電に使うことができます。これにより、ガソリンを購入する必要がなくなり、燃料費の負担が大きく減少します。
さらに、V2H(Vehicle to Home)システムを導入すれば、太陽光発電で得た電力をEVに貯め、必要に応じてその電力を自宅に供給することができます。これにより、家庭の電力を自宅で発電した電気でまかなえるため、電力会社から購入する電力を減らすことができ、電気代の削減にもつながります。
つまり、太陽光発電とEVを組み合わせることで、ガソリン代と電気代を同時に削減できるという経済的なメリットが得られます。
◇太陽光発電の電力と購入電力の把握
太陽光発電と電気自動車の組み合わせを検討している方は、まず太陽光発電の電力と購入している電力の現状を把握するのが重要です。太陽光で発電した電力が余ってしまい売電に回っている場合や、逆に電力が足りず購入しているケースもあります。
より太陽光発電と電気自動車の経済効果を高めるなら、一日の電力の流れや使い方を知り自分のライフスタイルに合った機器や自動車を選ぶのがポイントです。
◇電気料金プランの見直しによる効果
太陽光発電と電気自動車を導入する際は、電気料金プランを見直しするとより経済効果が得られる場合があります。
最近では、夜間から早朝にかけて電気代が安くなるプランなどが用意されているため、自分のライフスタイルや太陽光発電量なども考慮した上でプランを変更するのがおすすめです。プラン変更する際は、シミュレーションサービスなどを利用すると適したプランを提案してもらえるため、失敗を防げます。
太陽光発電と電気自動車の組み合わせの利点
カーボンニュートラルの実現に向けて注目されている太陽光発電と電気自動車ですが、年々徐々に普及率が上がっているものの、他国と比べるとまだまだ少ないのが現状です。太陽光発電と電気自動車の組み合わせには、いくつか利点があります。今後愛知県で太陽光発電と電気自動車の導入を検討している方は、利点を知っておきましょう。
◇燃料費を節約できる
最近は、ガソリンをはじめとする燃料が原油価格の高騰によって高くなっており、家計を圧迫するケースも多いです。また、電気自動車を所有していても太陽光発電がない場合、サービスステーションなどに出向き、お金を支払って充電しなければなりません。
しかし、太陽光発電があれば自宅で車を充電できるため、わざわざ出向く手間がなくガソリン代や充電費がかからないため、ランニングコストをカットできます。十分な電力を発電できれば、自給自足も可能なため電力会社から電力を購入する必要がなく、さらにコストカットの実現が可能です。
◇電気自動車を蓄電池代わりに活用できる
電気自動車は、蓄電池と同様に電力を貯めておけます。V2Hを導入すれば車で貯めた電力を自宅に給電できるため、太陽光発電と併用すると効率的な発電が可能です。雨天時など太陽光発電が十分に発電できない場合でも車に貯めた電力で賄えます。また、車に貯めておけば、万が一災害や停電が起きた場合でも数日間は電気の使用が可能です。
◇電気自動車と蓄電池は状況によって選択するのが良い
家庭用の蓄電池と電気自動車、どちらを選ぶのが最適なのか迷われる方も多いです。電気自動車は、家庭用の蓄電池よりもバッテリー容量が多いため、蓄電池よりも多く電力を貯めておけます。
また、交通手段としても電気自動車は利用できるため、車移動が多い方などは電気自動車のほうが適しているでしょう。しかし、電気自動車は高価なため、太陽光発電と同時に購入するとなると莫大なコストがかかってしまいます。
また、電気自動車は、駐車スペースが必要であったり、十分に充電されていない場合は非常時にあまり役立たないなど、懸念点もあります。そのため、蓄電できていれば問題ない方は蓄電池を検討するのもお薦めです。
カーボンニュートラル宣言は、温室効果ガスの排出を実質ゼロにする目標を掲げ、2050年までに達成することを目指しています。日本では政府が2020年にこの目標を宣言し、異常気象や温暖化の影響を受けた背景があります。
太陽光発電はクリーンエネルギーとして注目され、東京都や京都府では設置義務化が進んでいます。また、電気自動車(EV)とV2H技術を組み合わせることで、家庭での電力供給や災害時の電力確保が可能になります。
太陽光発電とEVの併用は、ガソリン代や電気代の削減にも貢献し、経済的なメリットも大きいです。EVのバッテリーを蓄電池代わりに活用することで、エネルギー効率も向上し、災害時の備えにもなります。