停電でも大丈夫!災害時に役立つ蓄電池の使い方とポイント
自然災害が多い日本では、停電は避けられない現象です。家庭用蓄電池があれば、電力供給が途絶えても生活を維持することができます。蓄電池は、災害時に重要な家電に電力を供給し、日常生活を支える頼もしい存在です。こちらでは、災害時に役立つ蓄電池の使い方や、設置時のポイントについて詳しく紹介します。
目次
地震等の災害が多い日本で避けられない停電
日本の電力供給は安定しているといわれていますが、停電が全く発生しないわけではありません。特に自然災害の多い日本では、停電が避けられない現象となっています。
◇日本の停電回数と時間
東京電力の調査によると、2015年の年間停電回数は平均で約0.13回、停電時間は21分程度と報告されています。
これは、1985年の停電回数0.90回、停電時間128分と比較すると大幅に減少しており、日本の電力供給が安定していることがわかります。
しかし、安定供給が保証されているといえども、災害時に発生する停電の頻度や規模は予測が難しく、特に南海トラフ地震などの大規模地震が発生すれば、長期にわたる停電が発生する可能性が高いと予測されています。
そのため、家庭や企業が停電に備えた対策を講じておくことは非常に重要です。
蓄電池や自家発電設備を導入することにより、電力供給の途絶に備えることができ、災害発生時でも基本的な生活や業務を継続することが可能です。
特に愛知県をはじめとした南海トラフ地震のリスクが高い地域では、こうした備えが安心な暮らしにつながるといえるでしょう。
◇地震だけじゃない!さまざまな原因で発生する停電
停電の原因は地震だけでなく、多様な要因が考えられます。
たとえば、台風や豪雨といった悪天候も停電を引き起こします。
強風により鉄塔や電柱が倒壊し、電線が切断されることが主な原因です。
2018年には台風21号の影響で関西圏を中心に約240万戸が停電し、復旧に時間がかかりました。
また、雷も停電の主な原因のひとつで、雷が電線に落ちたり、過電圧が発生したりすると、一時的な停電や瞬間的な電圧低下が引き起こされます。
これらは「瞬時電圧低下」と呼ばれ、精密機器が動作不良を起こすなどの影響をもたらします。
さらに、近年では老朽化した電力設備の破損や故障も停電の要因となっており、日本でも停電リスクが増加しています。
特に、高度経済成長期に建設された多くの電力インフラが老朽化しており、修理・保全が追いつかないことが懸念されています。
これに加え、電気自動車(EV)や太陽光発電といった分散型電源の普及により、電力システム全体のバランスが変わりつつあり、供給の安定性が試されている状況です。
特定負荷型と全負荷型の違い
家庭用蓄電池には「特定負荷型」と「全負荷型」の2種類があります。特定負荷型は冷蔵庫や照明など最低限の家電のみを支え、比較的小容量で導入可能です。一方、全負荷型は家庭全体の電力をカバーし、大容量が必要です。自宅の電力使用状況に合わせて、最適なタイプを選ぶことが重要です。
◇特定負荷型蓄電池
特定負荷型蓄電池は、停電時に必要な部分のみ電力を供給できるシステムです。
特に冷蔵庫やリビングの照明といった生活に欠かせない機器を選択しておき、停電が発生した際に優先的に電力を供給することが可能です。
このため、電力供給が必要な箇所を絞ることで、蓄電容量を効率的に使用し、より長時間の電力供給を実現します。
また、特定負荷型は設置費用が全負荷型よりも低く設定されているケースが多いため、初期投資を抑えたい家庭に適しています。
さらに、特定負荷型の蓄電池は一般的にコンパクトで、省スペース設計が多いため、限られた住宅スペースにも収まりやすいという利点があります。
このため、設置場所が限られている都市部の住宅や、狭小住宅での導入に向いているでしょう。
ただし、家全体には電力を供給できないため、使用する電気機器や部屋を事前に決めておく必要があり、停電時に全ての機器を使用することは難しい点がデメリットです。
限られた電力を重要な機器に集中させることを前提とした運用が求められます。
◇全負荷型蓄電池
全負荷型蓄電池は、停電時にも家庭内のすべての電気回路に電力を供給できるタイプです。
これにより、停電が起きても通常通りの生活を続けられるため、特にペットや小さな子どもがいる家庭に安心です。
たとえば、エアコンやIHクッキングヒーターなど200V電源が必要な機器にも電力供給が可能で、停電中も普段通りの食事や室温調整ができるため、快適な環境を維持できます。
こうしたメリットから、全負荷型蓄電池は災害対策としても高い評価を得ています。
一方で、全負荷型蓄電池はその高機能により設置費用が特定負荷型よりも高くなる傾向があり、導入コストがやや高額です。
また、全ての機器に電力を供給することで消費が早まるため、長時間の停電には向いていない可能性もあります。
そのため、太陽光発電と併用して電力の補充が可能な家庭や、短時間の停電であれば問題ない家庭に適しています。
災害時に備えて蓄電池を導入するメリット
長期間の停電や予期せぬ電力供給停止に対して、家庭用蓄電池を導入することで、安定した生活を維持することが可能です。蓄電池は、災害時に必要な電力を供給するだけでなく、安心感を提供します。
◇災害時における蓄電池の役割
災害時、特に大規模停電が発生した場合、蓄電池は家庭内のライフラインの確保に大きな役割を果たします。
地震や台風などで停電が長期間続くことは珍しくなく、例えば過去の台風で千葉県の一部では約2週間にわたり停電が発生しました。
このような状況下で蓄電池があれば、家庭の照明や通信機器、冷蔵庫などの重要な家電製品に電力を供給し、日常生活を維持することが可能です。
また、災害時には情報収集が生命線となるため、スマートフォンやテレビ、ラジオなどの通信機器の電源確保が重要です。
蓄電池は停電時でもこれらの機器に安定的に電力を供給できるため、家族や地域の安全に必要な情報を逃さず確認することができます。
さらに、愛知県などの都市部でも近年災害時の停電リスクが懸念されており、蓄電池の導入が一層求められています。
◇蓄電池導入のメリット
災害時の備えとして蓄電池を設置することには、複数のメリットがあります。
まず、停電時に家庭内の複数の家電製品を同時に使用できる点が大きな利点です。。
特に全負荷型の蓄電池であれば、全室の照明やエアコン、冷蔵庫といった高消費電力の家電も使用可能です。
これは、停電時でも通常に近い生活環境を保つことができ、長期化する停電でも快適に過ごせる利点があります。
さらに、蓄電池と太陽光発電を組み合わせることで、昼間の太陽光で発電し、夜間に蓄電池から給電することで電力を自給自足できます。
これにより、災害が続く場合でも長期間にわたり電力供給を確保しやすくなります。
また、日常的には電力会社からの電力購入量を減らし、電気料金を節約することが可能です。
蓄電池の導入は、環境面でのメリットもあり、省エネルギーと災害対策を同時に実現することができます。
災害時に蓄電池を活用するポイント
災害時に蓄電池を効果的に活用することは、非常時の生活を支えるために非常に重要です。停電が長引く可能性がある中で、蓄電池は家電の使用を継続できる頼もしい存在となります。ここでは、災害時に蓄電池を最大限に活用するためのポイントを紹介します。
◇自立運転モードへの切り替え
災害時の停電発生後に蓄電池を利用する際、重要なポイントは「自立運転モード」への切り替えです。
一般的に、蓄電池は停電が起こったときに自動的に自立運転モードに切り替わる機種と、手動操作が必要な機種の2種類があります。
自動切り替え機能が備わったモデルであれば、停電発生から数秒後に蓄電池からの電力供給が始まるため、緊急時でもスムーズに対応できます。
しかし、手動操作が必要な場合は、停電後に速やかに自立運転モードへ切り替えるための準備が求められます。
具体的には、蓄電池のモニターや主電源ブレーカーを操作し、電源供給のモードを変更する必要があります。
この操作方法は蓄電池の機種によって異なるため、日常的に操作方法を確認し、災害時に備えて準備しておくことが大切です。
◇電気が使用できない場合に確認すべきこと
停電時に蓄電池が正常に動作しない場合、まず確認するべきは蓄電池の「蓄電残量」です。
蓄電池には通常、一定の残量を下回ると電力供給を停止する安全機能が備わっており、災害時にはこの残量を保つことが重要です。
また、定格出力もチェックポイントのひとつです。
停電時に一度に使用できる電力は「出力」によって制限され、例えば1500Wの出力では冷蔵庫、照明、スマートフォンの充電程度は賄えますが、さらに炊飯器やエアコンを使用するにはより高出力のモデルが必要です。
一般的に100Vと200V対応の機種があるため、必要な家電に合わせた出力を持つ蓄電池を選ぶと、災害時に使い勝手が良くなります。
このように、事前に使用する家電の出力を確認し、それに見合った容量と出力を持つ蓄電池を選ぶことで、停電時の電力不足を防ぐことができます。
日本では地震や台風などの自然災害によって停電が避けられない状況があり、特に大規模地震や豪雨が原因で停電が長期化することがあります。停電に備えるためには、家庭用蓄電池の導入が有効です。
蓄電池には「特定負荷型」と「全負荷型」の2種類があり、特定負荷型は冷蔵庫や照明など必要最低限の家電を支え、全負荷型は家庭全体の電力を供給します。災害時には蓄電池が家電に安定的な電力を供給し、ライフラインを確保するため、非常に重要です。
蓄電池は太陽光発電と併用することで、長期間の電力供給を自給自足でき、環境にも優しい選択です。特に南海トラフ地震のリスクが高い地域では、災害対策として蓄電池の導入がさらに重要となります。